被害と対策の基本

更新日:2024年10月24日

被害の現状

 町内で発生している野生鳥獣による農作物被害は、被害金額の推移をみると平成28年度から減少していますが令和元年度から再び増加傾向がみられます。

 どの年度も被害金額の約6割がニホンジカとカモシカによるもので、イノシシの被害金額は年々増えてきています。

 町内の各地で侵入防止柵(電気柵など)の整備が進んできたことから、令和4年度以降は被害金額の減少がみられました。

鳥獣被害金額

どうして被害は減らないの?

 年々被害が深刻化している、対策をしているはずなのに被害が収まらない、ということはありませんか?

 野生鳥獣はその本能に従って、常に「安全」に「エサ」を食べられる場所を探しています。野生鳥獣にとって集落が利用価値の高い場所だと認知されてしまうと、被害はなかなか収まりません。

 全国にも被害が深刻化する集落は数多くあり、その集落には以下の共通点があります。自分の集落に当てはまる点がないかチェックしてみましょう。

  • 人が「被害」と思わないエサがある

 収穫後の残渣や管理していない柿の木など、人にとっては価値のないものに見えますが、野生鳥獣にとっては立派なごちそう(エサ)です。放置を続けると無意識に餌付けをしていることになり、被害の深刻化が加速します。

  • 「正しく」囲えていない

 きちんと柵を設置したつもりでも、野生鳥獣に対して効果を発揮できていない場合があります。守りたい農地を十分に囲えていなかったり、電気柵の高さや間隔が対象獣に合っていなかったり、漏電してそのままになっていたりと、設置や管理の仕方により効果が減少している例は少なくありません。

  • 隠れ場所がある

 野生鳥獣にとって「安全」と思える農地は、耕作放棄地や管理不足の林縁といった茂みが周辺にある農地です。野生鳥獣が隠れながら農地に移動できる環境を与えることは、被害を増やす一因となります。

  • 正しい追い払いができていない

 ニホンザルに限ることですが、自分の農地だけを守るために個人がバラバラに追い払いをしたり、農作物を食べられそうなときだけ追い払いをしたり、このような追い払いは効果がありません。これが続くと「人間なんて怖くないよ!少し隠れていればまたエサを食べに行けるよ!」とサルたちは学習し、人間や追い払いを恐れない強いサルになってしまいます。

  • 正しい捕獲ができていない

 年々増加する野生鳥獣を捕獲することは重要な対策のひとつです。しかし、ただ多く捕ればいいという訳ではなく、実際に農地で被害を与えている個体を捕獲しなければ意味がありません。まずは、防護柵でしっかりと農地を囲み、侵入できなくなった個体を捕獲することが原則なのです。

対策の基本は4つのポイントを押さえること!

 鳥獣対策は、「防除(畑を囲う)」「生息環境管理(エサ場・隠れ場をなくす)」「個体群管理(加害個体を捕る)」の三本柱を総合的に実施することが基本です。この活動を集落ぐるみでいかに実施できるかが、対策の効果を大きく左右します。

1.近づけさせない(生息環境管理)

野生鳥獣が安心できない環境を集落ぐるみで作りましょう。

  • 【隠れ場をなくす】 野生鳥獣の進入路や移動路となりそうなやぶや茂みを刈り払い、農地周辺の見通しをよくしましょう。
  • 【追い払う】 時期を限定せず、サルを見かけたら一年中いつでもしつこくみんなで追い払いましょう。「人間は危険だ!あの集落は危ない!」とサルに学習させることが重要です。
2.エサ場をなくす(生息環境管理)

農作物はもちろんのこと、集落内の収穫残渣や放任果樹、生ごみなど、身の回りのあらゆるものが野生鳥獣を引き寄せるエサとなります。家や農地の周りの環境を改善し、「ここにはエサがない…」と野生鳥獣に学習させましょう。

3.囲って守る(防除)

農地への侵入を防ぐためは侵入防止柵の設置が不可欠です。柵には様々な種類があるので、農地や対象獣にあわせたものを選びます。また、設置後は定期的なメンテナンスで効果を持続させましょう。

4.加害個体を捕獲する(個体群管理)

柵の設置と並行して行うことで効果的に加害個体を捕獲することができます。捕獲には原則として免許が必要です。免許を取得し、積極的に捕獲活動に取り組みましょう。

 

 野生鳥獣による被害は集落全体の問題です。個人で対策を行うよりも、みんなで行う方が圧倒的に効果があります。集落全体で鳥獣被害問題を話し合う場を持ちましょう。

被害防止計画の策定

 町では「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」第4条に基づき、山ノ内町鳥獣被害防止計画を策定し、計画的に被害対策に取り組んでいます。

山ノ内町鳥獣被害防止計画(計画期間:令和5年度~令和7年度)(PDFファイル:1017.9KB)

関連ページ

この記事に関するお問い合わせ先

産業振興課 耕地林務係
〒381-0498 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏3352-1
電話番号:0269-33-1107